091 マヌルネコ(Otocolobus manul) |
- 日時: 2012/09/23 03:34
- 名前: ****
- 中央アジアに分布する。
ロシア、キルギスタン、パキスタン、カザフスタン、モンゴル、カシミール、チベット、モンゴル、及び、中国。 カスピ海域のアフガニスタン・パキスタンでは、生息域が分離され、減少が著しい。
ネコ科の中でも最も古い種で、プセウダエルルス(Pseudaelurus)属から約1500万年前に分岐した最初の2種のうちの1種であると考えられている。
体長46〜65cm、尾長21〜31cm、体重2.5〜5.0kg。 オレンジ掛かった灰色の体毛を持ち、寒冷地に耐えられる様に毛が密集し長いため、太った体型に見える。 腰あたりに不鮮明な黒い縞模様がある。 尾には、鮮明な黒い輪状の模様があり、先端は黒色。 腹部は灰色。 顔は横に広く、丸く小さい耳が低く離れた位置に付いている。 頭頂部に斑紋模様。 目の周りは白色。 目の下から斜め外側に向かって白い帯模様。 口から顎に掛けては白色で頬の毛が長い。 手足は短めで臀部が大きい。 爪も短い。 他のネコ科の種に比べ歯の数が少なく、上顎第一小臼歯がない。 小型のネコ科動物には珍しく瞳孔は、円形である。 その見た目からペルシャ猫の先祖と考えられていたが、間違いである。
単独で行動し、繁殖時以外に他の個体と接触する事は稀である。 夜行性で、昼間は岩穴や岩の割れ目、他の動物が掘った穴などに潜み休む。 足は速くないので、待ち伏せや尾行によって狩りをする。 ナキウサギ、スナネズミ、ハタリス、ユキウサギ、トガリネズミ、ヤマウズラなどの鳥類、時にはマーモセットも捕獲する。 片方の上唇を釣り上げ震わせて、大きな犬歯をむき出しにする独特な威嚇行動をする。
アヌルネコの飼育は非常に困難で、繁殖は良くするが生存率が非常に低い。 自然の生息地が寒冷で感染症などの驚異が少ないため、免疫力が低いと考えられる。 飼育下では、最長11年まで生きた記録がある。 日本国内では、「埼玉県こども動物自然公園(埼玉)」「恩賜上野動物園(東京)」「東山動物園(愛知)」「神戸市立王子動物園(兵庫)」で見る事が出来る。
「英名:Pallas's Cat(パラスの猫)」は、ドイツの動物学者・植物学者であるのペーター・ジーモン・パラス(Peter Simon Pallas、1741年9月22日-1811年9月8日)に由来する。 彼は、ロシアのエカチェリーナ2世からサンクトペテルブルク科学アカデミーの教授として招かれ、ロシア地域の多くの動植物を調査した。 このため、中央アジアの多くの動物の英名に「パラス(Pallas)」の名前が付けられた。 クラスノヤルスク隕石から採取された石鉄隕石の組織「パラサイト」も「小惑星 (21087) Petsimpallas」もパラスに因んで命名された。
科:ネコ科 Felidae 属:マヌルネコ属 Otocolobus 種:マヌルネコ O. manul
学名:Otocolobus manul シノニム:Felis manul 英名:Pallas's Cat 日本名:モウコヤマネコ(蒙古山猫) 別名:マヌルネコ、パラスネコ
保全状況評価:NT(準絶滅危惧)
分類:ベンガルヤマネコ属 + マヌルネコ ├─ベンガルヤマネコ属( Prionailurus ) = Asian Leopard Cat lineage │ ├─────サビイロネコ ( Prionailurus rubiginosus = Prionailurus rubiginosa ) │ └─┐ │ ├───スナドリネコ ( Prionailurus viverrinus = Prionailurus viverrina ) (※「059 スナドリネコ(P. Viverrinus)」参照) │ └─┐ │ ├─ベンガルヤマネコ ( Prionailurus bengalensis )(※「089 ベンガルヤマネコ(P. bengalensis)」「090 アムールヤマネコ(P.b.euptailurus)」「009 イリオモテヤマネコ(iriomotensis)」「010 ツシマヤマネコ(P.b.euptilurus)参照) │ └─マレーヤマネコ ( Prionailurus planiceps = Ictailurus planiceps ) └─マヌルネコ属 ( Otocolobus ) └───マヌルネコ ( Otocolobus manul )
【亜種】 ・Otocolobus manul manul ( Felis manul manul ) バイカル湖周辺、ゴビ砂漠、東部シベリアなど ・Otocolobus manul ferruginea ( Felis manul ferruginea ) 北部イラン、カザフスタン、キルギスタン、南西トルクメニスタン、バルチスタンなど ・Otocolobus manul nigripecta ( Felis manul nigripecta ) ネパール、チベット、インド、カシミール地方など
※分類に関しては、「Felis(ヤマネコ属)」とする主張や「Prionailurus(ベンガルヤマネコ属)」とする主張などもあります。
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