082 山猫・やまねこ・ヤマネコ |
- 日時: 2012/05/28 14:56
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- 「山猫・やまねこ・ヤマネコ」と言う言葉は、とても曖昧な言葉です。
■広義のヤマネコ(山猫) 「ヤマネコ」と言う言葉は、広義に捉えた場合、 「大型ネコ科動物を除く野生種のネコ科動物」を指す言葉です。 ですから、 「大型ネコ科動物(ライオン、トラ、ヒョウ、チーター、ジャガー)とイエネコ(家畜主である猫)を除いた全てのネコ科動物」を指します。
■狭義のヤマネコ(Felis silvestris) 分類学上の「ヤマネコ」は、ネコ科動物の種「Felis silvestris」を指す言葉です。 「Felis silvestris」には、2007年のゲノム解析によれば、 ・Felis silvestris silvestris(ヨーロッパヤマネコ) ・Felis silvestris lybica(リビアヤマネコ) ・Felis silvestris cafra(南アフリカヤマネコ) ・Felis silvestris ornata(ステップヤマネコ・アジアヤマネコ) ・Felis silvestris bieti(ハイイロネコ) の5種を指します。 そして、 「広義のヤマネコ」には含まれなかった「イエネコ(Felis silvestris catus)」は、 「リビアヤマネコ(F.s.lybica)」を祖先に持つ亜種である事から、「狭義のヤマネコ」には含まれる事になります。
■広義の日本のヤマネコ(山猫) 古来、 日本で「山猫」と言われたものは、 「ツシマヤマネコ(Prionailurus bengalensis euptilurus)」と「野猫化したイエネコ(Felis silvestris catus)」の事です。 広義では「野良猫」も含まれます。 漢字で「山猫」と書いた場合に表すものとしては、この二つを表す言葉と言うのが一番的確な気もします。 「イリオモテヤマネコ(Prionailurus bengalensis iriomotensis)」は、琉球王国の生物なので「古来日本の山猫」としては扱われていません。 現代、 日本に生息する「ヤマネコ」と呼ばれるものは、「ツシマヤマネコ」と「イリオモテヤマネコ」です。 また、「大型猫化動物以外のイエネコを除いた全てのネコ科動物」を指す言葉としても使われます。 しかし、野生化したイエネコは「野猫」と呼ばれ、人間社会に同居する飼い主のいないイエネコは「野良猫」と呼ばれ、ヤマネコとは呼びません。
■狭義の日本のヤマネコ(Felis silvestris) 「ツシマヤマネコも「イリオモテヤマネコ」も「ベンガルヤマネコ(Prionailurus bengalensis)」の亜種(及び変種)であるため、 「狭義の日本のヤマネコ」には含まれません。 そして、「広義の日本のヤマネコ」に含まれなかった「イエネコ(野猫も野良猫も飼い猫もFelis silvestris catus)」が唯一の「狭義の日本のヤマネコ」です。
ここでは「広義のヤマネコ」は「山猫・やまねこ」と表現し、「狭義のヤマネコ」は「ヤマネコ」と区別して表現する様に心掛けます。
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