069 炎色の猫(Ailurus fulgens) |
- 日時: 2012/10/22 13:00
- 名前: ****
- 動物の学名はラテン語で表記されます。
学名「Ailurus fulgens(アイルルス・フルゲンス)」は、日本語に訳すと「炎色のネコ・光るネコ」です。 どんなカッコイイ猫なんだろう! http://ryoquest.sakura.ne.jp/town/laboratory/gallery/0690.html こんな猫がいたら、カッコいい♪ けど、触ったら火傷するし、家で飼ったら火事になってしまいますね……^^;
フランスの動物学者でパリ自然史博物館の動物園で働いていたフレデリック・キュヴィエ(Frederic Cuvier 1773/6/28/-1838/7/24)は、 剥製にされたその動物の標本を見て、その美しさに感動し「Ailurus fulgens」と言う学名を付けました。 フレデリック・キュヴィエは、フランスの博物学者で比較解剖学・古生学でも大きな功績を残したジョルジュ・キュヴィエ(バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ、Baron Georges Leopold Chretien Frederic Dagobert Cuvier 1769/8/23-1832/5/13)の弟です。
「炎色のネコ・光るネコ」の正体は、レッサーパンダです。 光の当たり加減によっては、燃えるような真っ赤な色に見えますよね。
目:ネコ目 Carnivora 上科:イタチ上科 Musteloidea 科:レッサーパンダ科 Ailuridae 属:レッサーパンダ属 Ailurus 種:レッサーパンダ A. fulgens 学名:Ailurus fulgens 和名:レッサーパンダ 英名:Lesser panda, Red panda 別名:イタチグマ
【亜種】 ・A. f. fulgens ネパールレッサーパンダ インド北東部、ネパール、ブータン ・A. f. styani シセンレッサーパンダ 中華人民共和国南部、ミャンマー北部
本来、「パンダ(panda)」と言うのは、このレッサーパンダの名前でした。 後に「ジャイアントパンダ」が発見され有名になり「パンダ」の名前が「ジャイアントパンダ」を指すようになって、 「小さい方の」と言う意味の「レッサー(Lesser)」が付けられる様になりました。 「元祖パンダ」は偽者に名前を取られる事になってしまいました。 昨今の欧米では、「レッサー(Lesser 小さい方の)」が侮辱語・軽蔑語であると言う理由で「Red panda(レッドパンダ)」と呼ばれる事が一般的になりつつあります。
何でもかんでも「軽蔑だ!侮辱だ!」と騒ぐ人がいるんですね。 時代と共に言葉も生きているんだから、そんな事で名前を変更していたら、次の時代にも名前を変える事になる。 欧米(特に米)では、「black(黒)」も別称なんだから、何れ「red(赤)」が別称になっても不思議ではない。
食性は雑食で、主食は竹・笹・たけのこ等ですが、小型哺乳類・鳥類の卵・昆虫・果実なども食べます。 標高1,500m-4,000mの森林や竹林に生息し、半夜行性で昼間は休むが夏季は昼夜活動する。 体長50-63.5cm、尾長28-50cm、体重3-6kg。 背面は赤褐色、腹部・足部分は黒色の毛に覆われ、尾は淡い褐色に縞模様がある。 面や唇、頬、耳介の外縁は白色。 指は5本で爪を少しだけ引っ込める事が出来る。 前肢の種子骨が指状に突起し、竹や笹を掴む時に「第六の指」として使われる。 この「第六の指」が体毛の配色と共に「ジャイアントパンダ」と非常に似ている点です。
昔は、レッサーパンダが大きくなるとジャイアントパンダになると考える人もいました。 その分類も「クマ科」にするか「アライグマ科」にするか判断も分かれていましたが、DNA配列や免疫反応などで「イタチ上科レッサーパンダ科レッサーパンダ属」に属する「レッサーパンダ種」として単独種となりました。
目:ネコ目(食肉目) Carnivora 亜目:イヌ亜目 Caniformia 下目:クマ下目 Arctoidea 上科:クマ上科 Ursoidea 科:クマ科 Ursidae 亜科:ジャイアントパンダ亜科 Ailuropodinae 属:ジャイアントパンダ属 Ailuropoda 種:ジャイアントパンダ A. melanoleuca
学名:Ailuropoda melanoleuca シノニム:Ursus melanoleucus 和名:ジャイアントパンダ、白黒熊(シロクロクマ、シロクログマ)、色分熊(イロワケクマ、イロワケグマ) 英名:Giant Panda
【亜種】 ・Ailuropoda melanoleuca melanoleuca 四川亜種 Giant Panda ・Ailuropoda melanoleuca qinlingensis 秦嶺亜種 Qinling Panda
レッサーパンダが「イタチ上科」なのに対し、ジャイアントパンダは「クマ(上)科」です。 まぁ、見たまま「クマ」ですからね^^
全長は120- 150cm、立ち上がると170cm程度。 体重はオス約100-150kg、メス約80-120kg。 眼の周り、耳、四肢、背中の両肩の間の毛が黒く、他の部分は白色(クリーム色)。 このカラーリングが人気の要因ですね。 尾の長さ約13-20cmで白色。 第一中手骨(親指)側にある撓側種子骨と第五中手骨(小指)側にある副手根骨が巨大化して指状に突起し、竹や笹を掴む時に「第六の指」として使われる。 また、「第七の指」がある事が日本の研究者によって発表された。
「中国名」 レッサーパンダ・ジャイアントパンダとも中華人民共和国に生息する動物です。 その中華人民共和国では、パンダの事を「熊猫(xiongmao; シュンマオ)」と言い、レッサーパンダは「小熊猫」、ジャイアントパンダは「大熊猫」と言います。 ところが、同じ中国語圏の台湾では「猫熊」と言います。 1939年、中国重慶の平明動物園で、動物標本展示会を行った。 「猫熊」の標本は一番人気だった。 この時に英語表記と同じ様に「左から右」に「猫熊」と表記したのですが、 当時中国語は「右から左」に表記されていたため、「熊猫」と間違った名前が広まってしまいました。 その後、中国内戦で敗れた中国国民党は有識者を連れて台湾へ退避したため、 中国国内に正しい知識を持つものがなく「熊猫」が正式名称になり、 有識者の渡った台湾では正しい名称の「猫熊」が使われました。
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