025 史実に基づく人と猫の関わり

日時： 2012/05/19 02:57

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「世の中には二種類の人間しかいない。それは、猫好きと猫嫌いである。」
西洋のジョークの一つです。

猫（一般的に言うイエネコの事です。）と人との関わりは、不明な所が多い。
それは、犬と同様に古くから人間と関わっていた為、正確な記録が残されていないからです。

約9000年前（B.C.7000頃）エリコ（現イスラエル国内）の遺跡で「猫の歯」が見つかる。
約7000年前（B.C.5000頃）キプロス島の新石器先土器時代の地層から「猫の遺骸」が見つかる。
　※この地中海の島に人間が移住する前の時代に「猫の化石」が見つからない事から、この島の猫は人間によって持ち込まれた可能性が高いと思われる。
　※一般論として「古代エジプト人が最初に猫を飼いならした」と言われる定説を覆すかもしれない貴重な資料。
約4000年前（B.C.2000頃）インダス川流域のハラッパー遺跡で「猫の歯」が見つかる。

約3450年前（B.C.1450頃）エジプトのテーベ、マイの墓壁に「椅子につながれた猫の絵」。
約3400年前（B.C.1400頃）エジプトのテーベ、ネバムンの墓壁に「湿地で鳥を狩る猫の絵」。
　※一般的に古代エジプト人が猫を最初に飼いならしたと言われる。
　　・古王国時代（B.C.2686〜2181）…猫は発見されない。（エジプト王朝は紀元前4000年頃から始まっています）
　　・中王国時代（B.C.2040〜1663）…猫は発見されない。
　　・新王国時代（B.C.1400 第18王朝）…ネバムンの墓壁に「湿地で鳥を狩る猫の絵」。この頃から、猫が頻繁に登場します。

約2800年前（B.C.800年）ローマ帝国終焉後の民族大移動の遺跡に猫は見つからない。
　※同時期、イギリスのサクソン人の遺跡には猫がいる。

約2500年前（B.C.550）イソップが生存した頃のギリシャでは猫は馴染みの動物だった。
　※農場に病気の鶏がいると猫が聞きつけた。そこで医者の格好をし、ちゃんと往診かばんまで用意してそこへ向かった。家の前に立って中の鶏に具合はどうかと呼びかける。「大丈夫ですよ」と返事があった。「あなたがそこを立ち去ってくれさえすればね。」
　※「悪人はいくら善人のまねをしても分別ある人は騙せない。」と言う教訓です。
　※この頃の西洋では、既に猫は悪者の要素を持った動物であったようです。

約1400年前（600年頃）イギリスに「猫を狩る人の絵画」。
約1300年前（700年頃）「リンディスファーン福音書」に「猫の頭部の絵」。
約1200年前（800年頃）「ケルズの書」には「猫の絵が多数」登場。「猫の価格は4ペンス」と記述されている。

約650年前（1362〜63年）ウィリアム・ラングランド作「農夫ピアズの幻想」のプロローグ「猫に鈴をつける」
　※ネズミの代表が猫と交渉をし、鈴を付けて貰おうとする。しかし、この猫に鈴をつけても、この猫の子孫が同じ事をしたら鈴を付けても意味が無い。
　※当時の王エドワード三世（と孫のリチャード）に対する風刺である。
　※悪政をする王が猫として例えられている。ネズミは一般人。
約450年前（1566〜1684年）なんと118年にわたって「魔女裁判」が行われた。
　※「猫は悪魔の使い」として生きたまま火に投げ入れ、魔女と共に駆除された。
約100年前（1904年）「悪魔の心を持つ動物がいるとしたら、それは疑いなく猫だ。」
　※100年前と言えば、日本では江戸時代が終わり「明治」にあたります。西洋では、この頃にも「悪魔と猫」を混同する考えが一般的でした。

古代遺跡から発見される猫は、人と共に共生していたと言うよりも「食用」として捕らえられた物ではないかと思います。
勿論、猫は「ネズミを獲る」と言う人にとって有益な動物である事を古代人も気が付いたかもしれません。
古代遺跡で発見される猫達は、人と共生していた可能性もあります。
しかし、ネズミが入り込んでいなかった地域では、恐らく「食用」とされたのでしょう。

エジプトでは新王国時代以降、猫は神にまで登りつめ大切にされましたが、西洋においては、悪魔の使い・悪人の象徴として捉えられる事が多く、魔女と共に駆除されるなど不遇が長く続きました。