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100 トラ・虎・タイガー(Panthera tigris)

日時: 2013/01/27 21:06
名前: ****

世界最大のネコ科動物。

頭胴長170-230cm。尾長95-120cm。
メスよりもオスの方が明らかに大型になる。
背面は黄色〜褐色で、黒い縞模様がある。
四肢の裏及び腹部は白色。
尾には黒い輪状の模様がある。
鼻面は太く短い。
顔にも黒い縞模様がある。
耳は丸く房毛に覆われている。
アルビノではない白固体も存在し、ホワイトタイガーとして有名である。
アルビノの反対、メラニズムも存在する。
出産直後の幼体は0.8-1.6kg程。

目:ネコ目 Carnivora
科:ネコ科 Felidae
属:ヒョウ属 Panthera
種:トラ P. tigris

学名:Panthera tigris
和名:トラ(虎)
英名:Tiger

保全状況評価:
EN(絶滅危惧)P. t. altaica アムールトラ、P. t. corbetti インドシナトラ、P. t. jacksoni、P. t. tigris ベンガルトラ
CR(絶滅寸前)P. t. amoyensis アモイトラ、P. t. sumatrae スマトラトラ
EX(絶滅)P. t. balica バリトラ、P. t. sondaica ジャワトラ、P. t. virgata カスピトラ

分類:ヒョウ属 ( Panthera )
   ├─────────────ユキヒョウ ( Panthera uncia = Uncia uncia )
   ├─────────────トラ ( Panthera tigris )
   └─┐
     ├───────────ジャガー ( Panthera onca )
     ├───────────ライオン ( Panthera leo )
     └───────────ヒョウ ( Panthera pardus )
     
【生存亜種】
・Panthera tigris altaica アムールトラ、シベリアトラ、マンシュウトラ、チョウセントラ(Siberian tiger、Amur tiger)(=Panthera tigris coreensis チョウセントラ Korean tiger)
・Panthera tigris amoyensis アモイトラ(絶滅?)(South China tiger)
・Panthera tigris corbetti インドシナトラ(Indo-chinese tiger)
・Panthera tigris jacksoni マレートラ(Malayan Tiger)
・Panthera tigris sumatrae スマトラトラ(Sumatran tiger)
・Panthera tigris tigris ベンガルトラ(Bengal tiger)
【絶滅亜種】
・Panthera tigris balica バリトラ(Bali tiger)
・Panthera tigris sondaica ジャワトラ(Java tiger)
・Panthera tigris virgata カスピトラ(Caspian tiger)

・シベリアトラ Siberian tiger、Amur tiger(Panthera tigris altaica)
トラの中でも最大種。
♂全長270-370cm、体重180-306kg。
♀全長240-275cm、体重100-167kg。
体長2.8-3.0m程。
ロシア(ウスリー東部・アムール)・アジア北東部に棲息する。
現在の生息数は約259頭ほどと推定されている。
冬毛は非常に長く、体色が淡く鮮やかである。
アムールトラ・マンシュウトラ・チョウセントラとも呼ばれる。
 ・チョウセントラ Korean tiger(Panthera tigris coreensis)
 アムールトラ・マンシュウトラともいい、アムール、ウスリ東北部に生息する。
 シベリアトラと同種とする学者も居る。
 アモイトラと似ているがこちらの方が大型である。

・ベンガルトラ Bengal tiger(Panthera tigris tigris)
♂全長270-310cm、体重180-258kg。
♀全長240-265cm、体重110-160kg。
インド、中華人民共和国南部、ネパール、バングラデシュ、ブータン、ミャンマー、アッサムに分布。
背面はオレンジや赤褐色に黒い縞模様。
縞模様が少なく、肩や胸に縞模様がほとんど無いものも居る。
インドトラとも呼ばれる。

・アモイトラ South China tiger(P. t. amoyensis)
♂全長230-265cm、体重130-175kg。
♀全長220-240cm、体重100-115kg。
中華人民共和国に棲息する。
絶滅の可能性あり。
脇腹は白くない。
縞は太くて短く、縞の数は少ない。

・インドシナトラ(マレートラ)Indo-chinese tiger(P. t. corbetti)
♂全長255-285cm、体重150-195kg。
♀全長230-255cm、体重100-130kg。
カンボジア、タイ、中華人民共和国南部、ベトナム、マレーシア(マレー半島)、ミャンマー、ラオスに分布。
生息数は1,000〜1,700頭(1994年)。
背面は赤褐色がかかる。
縞は細くて短く、縞の数は多い。

・スマトラトラ Sumatran tiger(P. t. sumatrae)
♂全長220-255cm、体重100-140kg。
♀全長215-230cm、体重75-110kg。
インドネシア(スマトラ島)に棲息する。
背面は赤褐色。
側頭部の体毛が長いが、頸部の鬣は短い。
縞は太くて、縞の数は多い

・ジャワトラ Java tiger,Javan tiger(Panthera tigris sondaica)
インドネシアのジャワ島だけに分布。小形でスマトラトラなどに似る。
個体数が3〜4頭の状態が続いたが、1980年代に絶滅した。

・カスピトラ Caspian tiger (Panthera tigris virgata)
アフガニスタン北部、イラン北部、トルキスタン。
コーカシアからイラン北部、パキスタン北部からアラル海付近まで分布したが、1970年代に絶滅した。

・バリトラ Bali tiger(Panthera tigris balica)
インドネシアのバリ島だけに分布したが、1940年代に絶滅した。

■生態
森林や湿原などに生息する。
地表生活をするが木にも登る。
夜行性で明け方夕暮れ時に主に活動するが、昼間に活動する事も多い。
雌雄共に繁殖期以外は単独生活をする。
餌の量によって違いはあるが、オスは数十km2・メスは20km2程の縄張りを必要とする。
オスの縄張りの中にはメスの縄張りが存在し、頻繁に徘徊し、糞尿や爪痕などで縄張りを主張する。
温暖な地域では避暑のために水に入る事もあり、水に入る事を嫌がらず、泳ぎも上手い。

■食性
食性は肉食で、主にシカ・イノシシなどの哺乳類を主食とする。
ヘラジカ・ワピチ(アカシカ)・スイギュウ・ガウル(インドヤギュウ)などの大型動物やアジアゾウやサイの幼獣、クマやヒョウやオオカミなど他の肉食獣なども襲う。
爬虫類・魚類・昆虫・果実・種子などを食べることもある。
成体のオスゾウを襲うこともあり、人間や家畜も含め、トラの犠牲にならない動物はいない。
1日10-20km徘徊し獲物を探す。
1日平均6-18kgを食べる。(多い時には、20-35kg食べる事もある。)
捕らえた獲物は茂みなどに隠して食べる。
大物を仕留めた時などは数日に分けて食べる。

■狩猟
獲物を見つけると茂みなどに身を隠し、飛びかかれる距離まで忍び寄る。
獲物に跳躍し、前肢で叩き倒す。
小形動物は喉元を噛み窒息させ、大型動物は頚椎を噛み仕留める。

■繁殖
繁殖形態は胎生で、妊娠期間は98-110日。
発情期間は数日だが、約2日で100回以上の交尾をする。
一度の出産で1-6頭の幼獣を産む。
メスのみで幼獣を育てる。
授乳期間は3-6ヶ月。
6-14日で目が開き、4-8週で巣から出るようになる。
生後18-24ヶ月は母親の縄張りで生活し独立する。
オスが幼獣を殺す事もあり、生後2年で半数の幼獣が命を落とす。
3-5年で性成熟する。
寿命は約15年。

■漢方薬
中国では漢方薬の原材料とされ、乱獲が絶滅への原因の一つとなっている。
「虎骨酒」とは、炙ったトラの脛の骨を酒に浸し、または、粉末にし陳皮、ニンジン、蛇胆その他とともに酒に混ぜて作られる滋養強壮薬。
虎骨酒は中国では「野生動物保護法」により販売が禁止されたが、代用品としてアフリカからライオンの骨が輸入されるようになり、アフリカライオンの絶滅原因の一つとなっている。
また、ヒョウの骨を用いたとする代用品も販売されている。(護骨酒)
骨以外にも内臓なども主に滋養強壮として漢方薬にされている。

■環境
棲息地域の開発、薬用・毛皮用としての乱獲、害獣としての駆除などにより生息数は激減している。
19世紀には推定100,000頭が棲息していたと考えられているが、20世紀に入り3亜種が絶滅し、2亜種が絶滅寸前、3亜種が絶滅危惧となっている。
アム−ルトラは現在3,200頭、シベリアトラは全世界で約500頭。
絶滅寸前とされる中国のアモイトラは、既に野生絶滅したと考えられている。
中国では、シベリアトラ・アモイトラ・アムールトラ・ベンガルトラが生息しているが、野生種は50-60頭程度と推定されている。

■トラ農場
トラ農場とは、動物園や保護施設ではなく、「トラ製品を出荷する農場」の事である。
中国では、約20ヶ所ある「トラ農場」と言うトラ製品供給施設では、約6,000頭が飼育されている。
アメリカでは、動物園やサーカス、個人のペットへの供給元として、約5,000頭のトラの飼育がされている。
※アフリカの「ライオン農場」は、元々動物園などへの供給をしていたが、現在では「漢方薬のトラの代用品」として中国へ出荷されている。

■変種について
「ホワイトタイガー」「ブラックタイガー」「ゴールデンタビー」「マルチーズタイガー(マルタタイガー)」などの色変種も存在する。

■法律
日本国内では「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)において「人に危害を加える恐れのある危険な動物(特定動物)」に指定され、飼育には動物種・飼養施設ごとに都道府県知事又は政令市の長の許可が必要です。
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